2010年09月29日

「若者はかわいそう」論はなぜ失敗したのか

巷には結論が先にあって、結論を補完するためにのデータ(のみ)が集められることが多い。海老原嗣生氏はそうしたデータ分析とは一線を画している。また、マスコミで流布されている言説に異を唱える分析結果が多くなかなか刺激的だ。

本書でもタイトル通り、「若者はかわいそう」論に異を唱えている。

また、確信犯的に城繁幸氏を意識して書いている。逆に城氏も海老原氏を意識して書いている点が多々見られ、お互いが意識をすることで議論の精度が研ぎ澄まされているように感る。そのため城氏の著書と比較しながら読むことを勧める。

「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書)
海老原 嗣生
扶桑社
売り上げランキング: 9892
おすすめ度の平均: 3.5
3 ミクロレベルでの「若者の不安」には答えていない
3 根拠が薄い。年金など含めた話をしないと。
5 結論ありきの議論への警笛
3 データは分母を見ろってやつですね
4 高校生から課長まで
どちらかというと城氏はあるべき雇用の姿を追っているのに対し、海老原氏は現状の分析に重きを置いている。また、城氏はどちらかというと一人ひとりのストーリーを大切にするのに対し、海老原氏は統計の精緻な分析が主体である。

海老原氏が本書で指摘している「若者がかわいそう」論のウソは以下のような点が中心となる。
○大卒が増えた。
○大卒が増えたため大学を出ても就職できない人が増えた。
○大卒の求人自体は決して減っていない。
○大卒で就職できないのは見境なく大学を増やした文部行政の失策。
○製造業の海外移転等で大卒(文系)の着く仕事では人との接触は不可避。
○人との接触が苦手な大卒文系は定型的な業務として派遣やフリーターという雇用形態に移行していく。

海老原氏の指摘でおもしろかったのは米国型のホワイトカラーの雇用形態への誤解。

一般には米国のホワイトカラーは巨額を稼ぐ経営者や金融マンのように成果主義で賃金が支払われるように理解されている。しかし、成果主義で支払われるのはホワイトカラーでもごく一部にすぎない。また、そうした雇用形態はプロ野球選手同様大きな金額を稼げる時期も限られている。大企業の中堅幹部が企業内でキャリアアップしていく点は日本と大差ない、という指摘。


ただ、著者が本書で扱っているのは主に雇用についてである。

社会保障における負担と給付との比率や、所得の再分配にまでは踏み込めばやはり「若者はかわいそう」だと思える。それでも若者にあますぎか?

労働市場にまた脆弱性が発見されました
http://norafp.seesaa.net/article/158035393.html
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