2010年12月08日

学資保険の加入を真剣に考えてみる

学資保険・こども保険(以下学資保険)の購入を真剣に考えている。購入と書くといかにも金融商品っぽいから、加入、と書くべきか。

もちろん、このブログ的には万が一のときのため、とか、保険屋が言いそうなことを書く気は無い。

学資保険自体が子供のために何かしてやりたい、という親心につけ込んだ商品だ。運用期間を子供の成長するまで、と予め制約を付ける必要はない。金融商品として合理的とは言えない。

こどもの学費を作る手段は何も学資保険と限定する必要などないのだ。

他の預金、株式、債権、投資信託などの金融商品でもいい。極論を言えば、目的を達成できるのだったら不動産投資でもいいし、起業しても良い。

学資保険を検討する理由は、投資先としてそれなりに旨みがありそうだからだ。

保険といっても、特別扱いするつもりはない。金融商品の一つとして適切な投資先かどうか、という点から判断をしていきたい。10年物国債を比較する商品のベンチマークと考えるべきだろう。

では、本題に入る。まず、各社の商品についての情報。

国内大手生保
18年満期
・一時払い→年利0.61%
 (一時払い1,110,768円→受取総額1,240,000円)
22年満期
・毎月払い→年利はマイナス!
 (月々13,215円→受取総額3,150,000円)支払総額は約348万

ソニー生命http://www.sonylife.co.jp/gakushi/
17年満期
・一時払い→年利1.37%
 (一時払い1,441,152円→受取総額1,800,000円)
・毎年払い→年利1.39%
 (毎年94,014円→受取総額1,800,000円)

アフラックhttp://www.aflac.co.jp/gakushi/
17年満期
・全期前納→年利1.17%*払込免除特則あり
 (全期前納1,480,155円→受取総額1,800,000円)
・全期前納→年利1.25%*払込免除特則なし
 (全期前納1,457,144円→受取総額1,800,000円)
・毎年払い→年利1.35%
 (毎年94,170円→受取総額1,800,000円)

年利についてはざっくりとした計算なので少数第一位までの数字で判断して欲しい。また、性別・年齢によって金利は変動するのであくまで参考例だ。諸条件の差異や長期金利の変動等で保険料は変わる可能性が高い。

性別が同じなら若い人のほうが保険料は安く、年齢が同じなら女性のほうが保険料は安い傾向がある。だから参考例を鵜呑みにせず、必ず保険会社に「自分の場合はどうなるか」を確認して欲しい。

大手生保の毎月払いは年利がマイナスということで問題外。比較的年利がまともなソニー生命の年払い、アフラックの年払いの商品は十分検討に値する。10年物国債利回りが1.2%の現在、投資対象として魅力的に見える。

アフラックの全期前納は年利が見劣りするので選考対象から除外。ソニー生命の一時払いも除外(理由は後述)。

ブランド、信用リスクにこだわるのなら国内大手生保の一時払いも選択肢に入れても良いとは思う。ただし、国債の代替という目的を考えると利率の点で積極的には勧めがたい。

では、国債と異なりどのような点に注意しなくてはならないか。

信用リスク・価格変動リスク…
生命保険の信用リスクは国債よりも高い。保険にも生命保険契約者保護機構というセーフティネットはある。とはいえ保険会社が破綻した際は予定利率の見直しなどが行われ投資元本を大幅に下回ることも覚悟する必要がある。
貯蓄性を強調するセールスに騙されてはいけない。金融商品としての性格はセーフティネットの充実した貯金よりも保険会社の社債に近いと考えるべきだ。

流動性リスク・価格変動リスク…
途中で解約する際は満期まで保有したときに比べて、解約返戻金が下がってしまう。基本的に満期まで保有しなかったときはペナルティ的に元本割れを起こす。また、10年物国債と異なり、長期間(17年〜22年程度)資金が拘束される。金利も長期間固定される。金利が上昇した際のリスクやインフレリスク(物価の上昇リスク)は考慮しなくてはならない。

契約者(親)が死んだ場合…
年払い・毎月払い、全期前納(払込免除特則あり)を選択した場合、契約者死亡以降の保険金の支払いが免除される。国債と異なり、自分の死に賭けているわけだから当然だ。逆に、一時払い、全期前納(払込免除特則なし)の学資保険だとこの部分の旨みがなくなる。

被保険者(子)が死んだ場合…
あまり考えたくはないのだが、この場合(金利はつかない)払込保険料相当が戻ってくる。ファイナンスの目的である子が亡くなって、資金の用途がなくなったと考えれば理解出来ないわけでもない。

生命保険料控除…
年末調整や確定申告の際に生命保険料控除の対象になる(本当はここが書きたかった)。生命保険料控除の枠が余っている場合はそれなりの額が戻ってくる。例えば生命保険料控除の枠5万円がまるまる使えるとしよう。生命保険料が10万円を超えていると5万円が上限になる。

上記のソニー生命、アフラックの例だと48,500円ほどが生命保険料控除額になる。所得税率が10%だとすると約5千円、20%だとすると約1万円が戻ってくる。仮にまだ生命保険料控除の枠を利用していないとすれば、この戻り分は実質的なキャッシュバックとも考えられる。

*すでに生命保険料控除の枠を全部(または一部)使っている場合は全部(または一部)利用することは出来ないので注意。
*保険料控除を利用するには年末調整の保険料控除申告または確定申告の際に申告の必要がある。


全期前納と一時払い
毎月払い、毎年払い、全期前納は加入している期間中生命保険料控除が適用される。一時払いの場合は初年分のみが生命保険料控除の対象。全期前納は文字通り、全期間分を最初に一括して預ける、という支払い方式。対して一時払いは初回に全額を支払う、と言う方式。

では、適用される所得税率が10%と仮定し、税金の還付分(要はキャッシュバック)を考慮に入れて利率の再計算をしてみる。

ソニー生命
17年満期
 毎年払い→年利1.37%>>>1.98%
 (毎年94,014円−還付分5,000円→受取総額1,800,000円)

アフラック
17年満期
 毎年払い→年利1.35%>>>1.96%
 (毎年94,170円−還付分5,000円→受取総額1,800,000円)

実質年利が2%に近い値になる。ちなみに、一時払いを選択すると生命保険料控除が適用されるのが初年度のみになってしまう。生命保険料控除の活用を考えている人には一時払いの学資保険は勧められない。ちなみにアフラックでは全期前納を選択できる。しかし、年利が(なぜか)年払いよりも渋くなるので選択肢からは除外する。

また、各社とも毎月払いも選択できる。しかし、毎月払いは事務コストがあがり、支払総額が増える(利率が下がる)ので勧められない。従って、このブログ的には年払いがオススメ。

こうして検討すると、20年前後、資金が拘束されることと保険会社の信用リスク(潰れるかも、ということ)を受け入れられるなら残存期間が20年の国債に類似した商品として考慮する価値のある商品ではないだろうか。

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ヲチしているブログの関連エントリ
サクサク Money Note - 「生命保険のカラクリ」を読んで「終身保険のカラクリ」が分かった
http://39saku39saku.blog129.fc2.com/blog-entry-9.html
吊られた男の投資ブログ (一般人の投資生活) : 学資保険 - 選ぶなら
http://blog.livedoor.jp/tsurao/archives/1350422.html

2010年12月8日(水)
初掲載時国内大手生保の受取総額が誤っていたので訂正しました。
アフラックの全期前納について記載しました。

関連エントリ
学資保険に加入しない理由を真剣に考えてみる
http://norafp.seesaa.net/article/172401427.html
もう一度、学資保険について真剣に考えてみる
http://norafp.seesaa.net/article/209224308.html
もう一度、学資保険について真剣に考えてみる(自分的結論)
http://norafp.seesaa.net/article/209225514.html
posted by のら at 00:08| Comment(4) | TrackBack(1) | 保険にひとこと言いたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、アフラックの代理店をしています松山と申します。非常に分かりやすい記事で参考になりました。一つだけ、気付いた点ですが、アフラックの学資保険は一時払ではなく全期前納ですので、期間中の生命保険料控除は可能なはずです。
ただ、制度自体は将来的にみて縮小、廃止も考えられますので、長期的な視点で考慮に入れない選択方法もあるのでは。
Posted by fpmatsu at 2010年12月08日 11:46
松山さん、コメントありがとうございます。

アフラックで全期前納が出来るのは知りませんでした。

年のため年利を求めようと思ったのですが、ホームページではシミュレーションが出来ないようなので、今回は比較の対象からははずそうと思っています。

時間が出来たら払込免除特則、支払総額、受取総額を電話で聞いてみようかと思います。
Posted by のら at 2010年12月08日 18:08
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます。
ありがとうございます。
Posted by 生命保険料 at 2010年12月10日 16:42
初めまして。
アフラックの学資保険について調べていたら辿り着きました。

もしかして、年利への換算って単純に平方根で割ってるだけですか?それとも、DCFの考え方で算出してますでしょうか。

後者じゃないと正しい投資判断はできないですよね。
計算結果は異なってしまったので。。。確認のために書き込んでみました。
Posted by 学資保険 at 2012年02月06日 10:03
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