2007年03月31日

エコノミストは信用できるか 東谷暁著

この本は、面白かったです。著作数がやたら多く、エコノミストというよりも既に評論家なのではないかと疑わせる長谷川慶太郎などの評価は予想通りでした。

エコノミストをどう評価するかは難しいことだと思います。著者の場合は、予想の的中と変説の程度などを評価の主眼としているようです。

エコノミストは信用できるか
エコノミストは信用できるか東谷 暁


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エコノミストの予想が的中しないのは別にいまさらのことではありません。そんなに簡単に予想が的中するのであれば、ソ連は崩壊しなかったでしょう。社会主義国も有効な処方箋を用意し経済の破綻を阻止できたでしょう。北朝鮮も韓国よりも豊かになっていたかもしれません。

本書はエコノミストの変説の推移を見ていくだけではなく、そうした変説を生み出す土壌についても多くを語っています。いわゆるエコノミストの市場、声の市場です。

エコノミストは所属・出身官庁の利益のためや実施したい政策のための理論的な裏づけをしなくてはなりません。

しかし、本書に登場する人物の決して少なくないエコノミストがときの政府の経済政策を支持する主張をしているのには驚かされます。

また、経済学的な理由付けが薄弱な理論を展開して最後は自説を放棄せざるを得なくなった事例なども紹介されています。

少なくないエコノミストが正しい経済理論を展開するのではなく受けの良いオピニオンを展開しています。また、時代の要求が変われば平気で自説を捨て新しい説を説き始める様を描いています。ただし、本書はそうしたエコノミストを批判しているわけではありません。エコノミストがメディアの求めている答えを用意した結果としてそうなってしまうのです。

証券アナリストやファイナンシャルプランナーと同様、エコノミストもメディアに露出します。だとすれば、必ずしも正しい学説や経済学的な根拠が強固なオピニオンが支持されるわけではありません。アピールが上手であったり、政府の政策に太鼓判を押すエコノミストが支持されることもあります。

こうしたエコノミスト市場があればエコノミストも市場の需要にあわせて変説をしたり、他のエコノミストの批判をしてみたりするのも何ら不思議はありません

経済学は決して万能ではないかもしれません。しかし、身近な人の行動原理を説明するときは非常に役に立つツールではあります。また、自分の行動の合理性を追求する際も、有効なツールだと思います。

それでも、一国の政策を云々するマクロ経済の議論や分析となると変数が多くなってきて予測や有効な政策を考えるのは困難になってきます。

エコノミストの変説という意味では、本書はその時々に求められたオピニオンの流れを追っている形になります。プラザ合意以降の経済政策を知る意味でも非常に優れた本だと思います。

のらFPはところで、エコノミストが歴史的視点や文化的視点から経済を語り始めたときがエコノミスト生命の折り返し地点だと思っています。

歴史的・文化的視点を混ぜて経済を語ることが悪いことだとは言いません。しかし、脂が乗り切った時期を過ぎると、文化論や民俗論を織り交ぜて自説の価値を保とうとする傾向がある気がします。
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